肩・膝の痛み

四十肩・五十肩

中年以降に起こる肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)

加齢によって肩関節の周りの関節包(かんせつほう)やその内側の滑膜(かつまく)、腱や腱板(けんばん)、滑液包(かつえきほう)が変性したり、部分的に断裂したりしているところに、腕を使いすぎたなど、何かのきっかけで炎症が起こります。片側だけに起こるのが特徴です。痛みがあるからと動かさないでいると、肩が動かなくなってしまうので、できるだけ肩や腕を動かすようにすることが大切です。

●症状

  • 片側の肩が痛くなり、腕が上げられない。
  • シャツを着にくい、背中に手が届かない、髪をとかしたり洗ったりしにくい。
  • 肩の周りを押すと痛みを感じる。

●原因

  • 肩関節の周囲の組織が弱っていたところが刺激を受けることで炎症が起こって痛みが出る。

●治療

  • 肩を動かすトレーニングをする。
  • 痛みがひどいときには消炎鎮痛薬を使う。
  • 炎症を抑える局所注射をする。
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四十肩・五十肩のトレーニング

四十肩・五十肩になったとき、肩や腕を動かさないでいると、肩の関節の周囲が癒着(ゆちゃく)して動かなくなってしまいます。痛みが少し和らいできたら、肩を動かし、適度に負荷をかける動作をします。すぐに効果は出なくても、だんだん肩が動くようになるはずです。痛みが強いときには無理をせず、運動の翌日に痛みが残るようなら、運動は中止します。目安は朝夕各10回ずつです。痛みがない側の肩も同じように動かすようにすると、動きのイメージがつかみやすく、また、四十肩・五十肩の予防にもなります。

●急性期(目安:発症後から2週間ぐらいまで)

激しい痛みがあり、肩や腕が動かしにくい時期です。安静や冷却で炎症を抑えるのが原則です。可能なら、自分の腕の重さを使う「振り子運動」をします。

テーブルや台に痛くない側の手をついて体を支え、腰を90度近くに曲げる。傷む側の腕や肩の力を抜いて腕を下げ、腕の重さを感じながら、振り子のように前後や左右に軽く振る。

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●慢性期(目安:発症後6か月ぐらいまで)

鈍い痛みに変わってきたけれど、まだ痛みは残っている時期です。なるべく肩や腕を動かして、肩周囲の関節の癒着を防ぎます。

壁の横に立ち、壁に垂直に手を当てて、少しずつ上げていく。あるいはひざをゆっくり曲げていく。

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立って両ひじを体につけて直角に曲げ、その位置で手を両側に開く。あお向けに寝た状態で、同じように両ひじを体につけ、手を開いて行うのもよい。

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腕を曲げて、ひじを肩の高さまで上げ、服や下着の肩の部分をつかむ。そのままの体勢で、ひじで小さな円を描き、だんだん大きく回していく。逆回しも同様に行う。

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椅子などにつかまって軽く前かがみになり、腕を回しながらだんだん上げていく。

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両手を挙げて、頭の後ろに回す。可能ならば指を組み、ゆっくりと動く範囲でひじを後ろに引きながら、胸を張る。手を下ろし、腰の後ろで手を組むか、手首を握り、ゆっくりと胸を張る。(痛みが軽くなるにつれて、腰の後ろで手を組む位置をだんだん上げていく。)

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片側の腕を上げてひじを曲げ、もう一方の腕は下げてひじを曲げ、背中で両手をつなぐ。手をつなげたら、軽く引っ張り合いをする。左右を替えて、反対側の手つなぎも行う。

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●回復期(目安:発症後6か月以降)

痛みや不快感がほとんどなくなった状態の時期です。慢性期に行う肩や腕のトレーニングを続けながら、ラジオ体操や上半身のストレッチを行うのがおすすめです。スポーツも積極的にするようにしましょう。

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監修の先生